数土直紀 教授
研究テーマ
計量社会学、数理社会学、社会階層論、社会意識論がおもな専門分野です。特に階層帰属意識と呼ばれる変数に注目し、人びとの階層意識が過去数十年の間にどのように変化し、格差社会のイメージがどのようにして形成されてきたのかを、大規模社会調査データの分析をもとに明らかにしてきました。
これまで関わってきた調査
- 1995年社会階層と社会移動に関する全国調査(1995年SSM調査研究会)。社会階層と社会移動に関する全国調査は、10年に一度実施される大規模な全国調査で、1955年から実施されています。社会学者の間ではSSM調査と呼ばれ、1995年は第5回目にあたりました。
- 第6回貯蓄行動と貯蓄意識に関する調査(貯蓄行動と貯蓄意識に関する調査研究会)。1997年に実施された全国調査で、郵政省貯金局経営調査室(当時)の依頼を受けて実施されました。
- 2005年社会階層と社会移動に関する全国調査(2005年SSM調査研究会)。第6回目のSSM調査になります。
- 2010年格差と社会意識についての全国調査(SSPプロジェクト)。SSPプロジェクトでは様々なタイプの全国調査を実施していますが、そのうちの一つになります。
- 2015年社会階層と社会移動に関する全国調査(2015年SSM調査研究会)。第7回目のSSM調査になります。それまでは、一会員としての参加でしたが、2015年SSM調査では研究会幹事として参加しました。
- 2015年階層と社会意識全国調査(SSPプロジェクト)。SSPプロジェクトでは、この調査を第1回SSP調査と位置付けています。2021年に第2回SSP調査が実施される予定です。
現在進行中の科研費プロジェクト
間主観的階層地位の解明とその適用可能性の探求
本研究では、人びとの間で社会的階層地位がどのようなものとしてイメージされているのかを明らかにする。そのうえで人びとの間で間主観的に形成された社会的階層地位と、統計的に特定される客観的な社会的階層地位とがどのように異なり、そしてどの点で一致しているのかを解明する。客観的に特定される社会的階層地位は、科学的な厳密性をもつ一方で、人びとの実感から乖離していることが少なくない。そのことが、社会的不平等に対する問題の解決を難しくする場面を想起できる。本研究は、そのような困難の解決に寄与することを目的としている。
研究成果
上記に挙げた社会調査は、貯蓄行動と貯蓄意識に関する調査を除き、すべて科学研究費補助金による支援を受けたものです。それぞれの成果は一般書籍の形で公開されていますので、興味のある方は是非ご覧ください。



根本雅也 講師
研究テーマ
質的調査法、歴史社会学、戦争社会学がおもな専門分野です。広島に投下された原爆の災禍に関連してどのような社会的価値が形づくられてきたのかに関心を持ち、その形成過程を歴史的にたどるとともに、そうした価値と被爆者の関わりについて資料収集や聞きとり調査を通じて探ってきました。
これまで関わってきた調査
- 戦災のもたらす心霊現象の社会学:〈見えないもの〉の記録と継承(科研費 挑戦的研究(萌芽):研究代表者 2020-07-30 – 2024-03-31)
- もの、語り、アート、宗教にみるトラウマ体験の共有と継承:ホロコーストと原爆投下(科研費 挑戦的研究(開拓):研究分担者 2020-04-01 – 2024-03-31)
- 東南アジアにおける「ヒロシマ」の諸相-グローバル化する記憶の社会学的研究(科研費 若手研究B:研究代表者 2017-04-01– 2021-03-31)
- 戦争体験の普遍化に関する社会学的研究:アメリカにおけるヒロシマ・ナガサキ(日本学術振興会 特別研究員奨励費 特別研究員(PD):研究代表者 2017-04-26 – 2020-03-31)
- 復興と文化の創造―被爆都市広島のビジュアル・エスノグラフィ(科研費 挑戦的萌芽研究:研究分担者 2015-04-01 – 2017-03-31)
現在進行中の科研費プロジェクト
原爆をめぐる超常現象と民間伝承:見過ごされた戦争の記憶と継承の社会学
本研究の目的は、心霊体験や超常現象の語りが、どのように戦争を伝えるのかについて多面的に明らかにすることにある。そのために、本研究は、広島市が被った原子爆弾の災禍に焦点を当て、1.どのような心霊・超常現象の語りがあるのか(語りの採集と記録)、2.語りにおいて戦争やその死者はどのように位置づけられているのか(内容の分析)、3.その語りはどのように語り継がれてきたのか/こなかったのか(伝承の要因とメカニズムの理解)という問いの解明に現地調査を通じて取り組む。
研究成果
・根本 雅也「被爆ナショナリズムの政治力学―自民党政権と核兵器・被爆者問題―」『社会学評論』72 巻, 3 号 pp.276-293 2021年
・根本 雅也『ヒロシマ・パラドクス—戦後日本の反核と人道意識』勉誠出版 2018年
・根本 雅也共編『原爆をまなざす人びとー広島平和記念公園八月六日のビジュアル・エスノグラフィ』新曜社 2018年

